「俺は、の事がすきだ。」
「やだ、聞きたくない」
耳をふさいで、まるで子供のように丸まって布団を被って、逃げる。政宗に背を向けた。いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ。聞きたくないよ、そんな、言葉。はぁって大きな溜息を吐くと政宗は私の隣までやってきて、布団をはぎ取られる。
「いい加減に大人になれよ、」
「いやだ、聞きたくない、そんな感情、もう知りたくないよ」
「お前はいつまでアイツの事を気にしてんだよッ!!」
やだ、そんな事あたしにも分かんないよ。考えたくも、ない。世界はあの人が死んだ瞬間から何も変わらない。色もつかない。ただの輪。回って、回って、また同じところに戻る。あぁ、なんて切ない。(馬鹿みたい、だよ。死んだ人は戻らないのに)
「政宗、あたしあんたが嫌いだよ」
「……Why?」
「異国語なんかわからない」
「………、なぜだ?」
「嫌い、だよ。どうしても、きらい」
「俺は、お前が……、」
「やだ!聞きたくない!」
「…ッ、てめぇはいつまでそうやって目ェ閉じてるつもりなんだよ」
「……っ」
「いつまで背ェ向けてっつもりだ?!」
「分かんないよ!そんなの分かるはずないよ!!」
だって、あたしの一番はいつまでたってもあの人で(それ、本当?)(本当、だよ)それは変わることが無くて、だからあたしを苦しめるだけの言葉なんて、聞きたくは無くて。(蓋をした感情を気付かさないでよ!)
聞きたくない、聞きたくない。感情なんて、いらない。そんなの、欲しくない。
「なぁ、……」
「政宗には、もっといい人がいるよ。あたしじゃ、だめだよ。だから……、」
「Be silent!!んな事、聞きたくねぇ!」
「……、わがまま」
「うるせぇ…」
視線が、青に、染まる。(なんでだろう、なんて考えなくても)(あぁ、政宗に抱き締められているんだ。あたし)温い腕の中からは、逃げれない自分に嫌気がさす(こうして、いつまでも甘えたまま、なんだな)情けない、自分。
「I need you、俺は、が必要なんだ」
きゅう、と体を締め付けられる。いたい、いたいよ、政宗。(なんか、あたしの存在確かめてるみたいな抱きしめ方だね)恐る恐る、ゆっくりと政宗の背中に手を回すとその背中は小刻みに震えていた。(あれ、違うのか、あたしの手が震えてるのかも)弱い自分に嫌気がさす。あぁ、こんなの、あの人にも、政宗にも、悪いのに。(あたしがちゃんと決めない所為、だよ)
「ごめ、なさい…」
「俺はcoolだからな、なんかすぐに…、おい!」
ぽろぽろと涙が落ちた。涙は政宗の深い深い青に飲み込まれていく。(やっぱり、あたしの一番は、あの人だけなんだ)(それ、本当に本当?)(あれ、分からない、よ)嗚咽を噛み殺して、政宗の胸を押して離れると、政宗はあの、片方の鋭い目であたしをじぃっと見つめていた。(視線で人が殺せるなら、きっとあたし、政宗に殺されてるよ)
「ごめッ…さようなら、政宗」
さようなら、自分。ぐいっと手を引かれ、もう一度うけた熱い抱擁を拒むことが出来なかった自分は、やっぱり、弱虫なんだろうかな。
Goodbye,Me
(060820) いつか、いつか、素直になれるのなら